コロナ禍という世界的な危機の中、現役の学生のみなさんは思い描いたような学生生活が送れず、残念な思いをしているかと思います。自由に大学に通い、自由に友人と語り合えた自分の学生時代は、本当に恵まれていたのだと改めて感じています。
『分断』という言葉をよく目にするようになりましたが、自分と違う意見を持つ人を受け入れない、頭ごなしに否定する、そんな空気がコロナ禍でより広まってしまったような気がします。
仕事上、社会の様々な問題について発信したり議論したりする機会がありますが、常々念頭に置いているのが、「反対意見をよく聞く」ということです。議論の目的は相手を“論破”することではなく、“最適な解”をみんなでみつけることではないかと考えています。この考えに至る土壌を作ってくれたのは、間違いなく京都大学で過ごした日々です。
授業の内容はもちろん、社会の問題についても友人と語り合いましたが、意見の違うこともたくさんありました。むしろ意見が合わないことの方が多かったかもしれません。しかし、自分と違う意見に聞く耳を持たない人はひとりもいなかったと記憶しています。「吉本に入って芸人になる」という彼らからしたら信じがたい夢を語る僕のことも、誰も否定してきませんでした。
ホームカミングデイでの交流をきっかけに、様々な議論が行われ、またたくさんの“最適な解”が生まれるだろうと想像し、わくわくしています。